研究概要 |
1) T2,SCOT欠損症例の蓄積,遺伝子解析. 世界各地からの症例の相談に応じ,臨床経過,細胞株の維持,酵素活性,蛋白解析,遺伝子解析を行い、T2欠損症のexonic splicing enhancerにおける遺伝子変異によるエクソンスキップを報告し(Mol Genet metab 2010)、日本人症例における軽症型変異H144Pをもつ症例が非典型的な有機酸所見を示し診断に注意が必要であることを明らかにした(投稿中)SCOT欠損症においても、日本人症例の臨床的特徴および遺伝子解析を報告(J Inherited Metab Dis 2010),また世界各地からの5症例に認められたミスセンス変異についてcDNAの発現実験を行い,同定された変異が病因となる変異であることを確認するとともに,一部は発現温度を30度,37度,40度で行うことで,温度感受性変異であることを明らかにした(Biochim Biophys Acta in press).これらの報告はT2欠損症、SCOT欠損症の発症に関した新たな知見を追加した。 2) MLPA (Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)法の確立 T2欠損症について独自にMLPA法を構築し、1変異が同定できなかった症例でエクソン3、4の欠失を同定できた。 3) SCOT遺伝子の肝臓特異的発現抑制機構の解明 HepG2細胞(肝細胞特徴維持)においてSCOT遺伝子の転写がオンなのかオフなのかをChIP assayにより検討している。核内heteronuclearRNAの解析結果から、SCOT遺伝子は肝臓においても有る程度転写されている可能性が示唆された。このことはSCOTmRNAがなぜ肝臓で低下し、SCOT活性が認められないかについて新知見となる可能性があり、解析を進めている。
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