研究概要 |
1)T2,SCOT欠損症例の蓄積,遺伝子解析. 世界各地からの症例の相談に応じ,臨床経過,細胞株の維持,酵素活性,蛋白解析,遺伝子解析を行った。世界各地からの5症例に認められたミスセンス変異についてcDNAの発現実験を行い,同定された変異が病因となる変異であることを確認するとともに,一部は発現温度を30度,37度,40度で行うことで,温度感受性変異であることを明らかにした(Biochim Biophys Acta 2011)またT2欠損症におけるH144P変異による軽症例では発作時でも典型的なアシルカルニチンプロファイルをとらないことを示した。 2)MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)法の確立 SCOT欠損症およびT2欠損症について構築した。SCOT欠損症においてはエクソン17を欠失する症例を同定できたが、Long range PCR等でその欠損範囲の解析がまだ進行中である。 3)SCOT欠損症変異の詳細な解析 SCOT欠損症のスプライシング異常を来す変異についてhnRNAにおけるスプライシングオーダーの点から解析した。そしてSCOTtranscriptにおいてのスプライシングオーダーをコントロールと2エクソンが一度にスキップする症例において解析し、1つの5'スプライス部位の異常が複数のイントロンのスプライスオーダーに影響することを明らかにし、現在投稿中である。。 4)SCOT遺伝子の肝臓特異的発現抑制機構の解明 HepG2細胞(肝細胞特徴維持)においてSCOT遺伝子の転写がオンなのかオフなのかを昨年度からChIP assayにより検討し、その結果かならずしも完全にオフとは言えなかった。核内heteronuclearRNAの解析においてもクリアカットな結果が得られず、ヒト細胞を用いた解析での限界と考えられた。
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