臍帯血中のFGF23濃度は、成人に比し低く、可溶型Klothoの濃度は高いことを昨年度見いだした。この結果をさらに確認するために、妊婦とそ児の臍帯血という直接的に関連のある対象群を設定してFGF23の測定を行ったところ、FGF23値は、妊婦は成人と差がなく、それらの値に対し臍帯血では有意に低値であり、また、可溶型Klothoの濃度は臍帯血では妊婦に比し高いことことを確認し論文として発表した。X連鎖性低リン血症性くる病(XLH)では、FGF23は高値となるが、胎児あるいは新生児期から高値であるかどうかは知られていない。XLHのモデルであるHypマウスを用いて、胎仔のFGF23値を測定したところ、遺伝子異常のある個体で明らかな上昇を認めた。FGF23の高値がリン代謝異常を伴うかどうかさらに検討していく予定である。血清FGF23を35名(延べ56検体)測定し、ビスフォスフォネート治療中に低下すること、低リン血症性くる病(FGF23高値)とビタミンD欠乏性くる病(FGF23低値)の鑑別に有用である事を確かめた。骨形成不全症の患者に対し、ビスフォスフォネートを投与するとFGF23値が減少するというデータを論文として発表した。新たなFGF23関連低リン血症性くる病である脂腺母斑症候群の日本人症例を見いだした。FGF23シグナルとリン応答シグナルがFRS2α以下の信号伝達が共通していることを見いだし論文として報告した。
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