ATDC5細胞における甲状腺ホルモントランスポーターMCT10の機能解析 我々は昨年度、マウス由来軟骨前駆細胞株ATDC5に発現する甲状腺ホルモントランスポーターのmRNA発現量を網羅的に解析し、甲状腺ホルモンに特異性が高いとされるトランスポーターのうちMCT10の発現が最も高いことを示した。 そこで、今年度はsiRNAを用いてMCT10 mRNAをノックダウンし、ATDC5細胞においてMCT10が実際に生理作用を有しているのか検討した。 1) 甲状腺ホルモンの細胞内取り込みに対する影響 ATDC5細胞において、MCT10 mRNAをノックダウンすると、細胞内への甲状腺ホルモン取込みはNegative Control siRNAを導入した細胞と比較して30-40%減少した。 2) 細胞増殖、分化におよぼす影響 甲状腺ホルモンは軟骨細胞において、増殖を抑制し、分化を抑制することが知られている。ATDC5細胞においてMCT10 mRNAをノックダウンした後、細胞増殖を評価したところ、甲状腺ホルモンによる細胞増殖抑制作用は消失していた。また、ATDC5細胞においてMCT10 mRNAをノックダウンした後、細胞分化を評価したところ、甲状腺ホルモンによる細胞分化促進作用は消失していた。 以上より、MCT10はATDC5細胞において甲状腺ホルモントランスポーターとして機能し、細胞内における甲状腺ホルモン作用の調節に関与している可能性が示唆された。
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