研究課題
我々は急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、多発性硬化症(MS)、clinically isolated syndromeの病因・病態を明らかにしそれらの新たな診断マーカーを見出すことを目的として、臨床検査データ、画像データに関する解析を行ってきた。H23年度は、国際小児MS研究グループの疾患定義に基づいて診断したADEMについて、候補遺伝子が病因、病態に関与するか否か、またそれらが新たな診断マーカーになるか否かを明らかにする目的で、関連解析を行った。候補遺伝子として、(1)MS患者においても変異が見られることが既に明らかになっているTNF receptor-associated periodic syndrome (TRAPS)の原因遺伝子であるTNFRSF1A、(2)ノックアウトマウスで実験的自己免疫性脳炎が起こりにくいことが証明されている自然免疫関連遺伝子であるRIPK2、NOD1、NOD2、(3)大規模研究でMS発症に関連していることが証明されたHLA-DRA、IL2RA、IL7R選出し、ADEM症例39人、正常対照95人よりDNAを採取し、上記候補遺伝子のSNPについてCustom TaqMan@ Genotyping assaysで解析し、両群間での有意差を検討した。その結果、解析を行ったTNFRSF1Ars1800693、rs4149577、RIPK2 rs39500、rs40544,NOD1rs6947097、NOD2rs2111235、rs6500328、HLA-DRArs7192、IL2RArs2104286、IL7Rrs6897932ではアレル頻度、遺伝子型とも両群間に有意な差を認めなかった。以上より、これらのSNPは新たな診断マーカーとはなり得ないと考えられた。またADEMは遺伝的背景がMSと異なっている可能性が推測された。
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