UBE3Aは細胞内の蛋白質分解経路であるユビキチン、プロテオゾーム系酵素のE3:ユビキチンリガーゼとして働くタンパク質であり、その異常は小児先天性疾患であるアンジェルマン症候群(AS)を引き起こす。今回申請者はAS原因遺伝子UBE3Aトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、脳の発生・成熟段階におけるUBE3Aの機能を解析する。将来的に、UBE3A補充によるASの遺伝子治療を視野に入れた基礎研究を行う。平成21年度はAS原因遺伝子UBE3Aが神経細胞特異的に発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。ラットNeuron-specific Enolase(Eno2)プロモーター下流にヒトUBE3AcDNAをつないだプラスミドを受精卵にインジェクションし4系統のTgマウスを作成した。RT-PCR、ウエスタン解析にて4系統中、神経細胞にのみ発現しているのは1ラインのみであることを確認した。一方Ube3aKOマウスとUBE3A Tgマウスを交配しUbe3aホモ欠失かつUBE3A Tgマウス(F1)を作製し、TgマウスにおけるヒトUBE3Aの発現量・タンパク量を正常野生型マウスの内在性Ube3aと比較し評価したところ、外来性TgからのUbe3a蛋白質の発現は正常の約50%であった。現在、行動解析用にUbe3aKOマウス(父親由来アレルのUbe3a欠失マウス:Ube3am+/p-)雌とTgマウス雄を交配し、F1を以下の4パターンの遺伝子型を持つマウスに分類し、オス各約20匹ずつを準備中である
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