研究概要 |
平成23年度は、三角頭蓋を呈する患児の臨床遺伝学的診断、CD96遺伝子解析、機能解析、遺伝子変異スクリーニング系の構築、エクソーム解析を計画した。 1)三角頭蓋を呈する患児の臨床遺伝学的診断とCD96遺伝子変異解析 昨年度に引き続き三角頭蓋を呈する患児について、臨床遺伝学的にOpitz三角頭蓋症候群(OTCS)、Bohring-Opitz症候群(BOPS)と診断された患児のCD96遺伝子解析を行った。海外症例の解析では、有意な遺伝子変異を認めなかった。 2)次世代シーケンサーによる原因遺伝子の解析 CD96遺伝子変異およびアレイCGHでの変異を認めない患児について、ホールエクソーム解析を行った。 キャプチャーには、illumina社のTruSeq試薬を用い、次世代解析にはSOLiD4 plus, HiSeq2000を使用した。2人の患児でホールエクソンキャプチャーを行い、SNP, indel call、比較解析等により、1人にASXL1遺伝子の欠失変異を同定した。さらに、他のBOPS患児でシーケンス解析を行い、新規変異を同定した。 3)遺伝子変異スクリーニングシステムの構築 CD96遺伝子、ASXL1遺伝子について、定量PCR-高性能融解曲線分析法による遺伝子変異スクリーニング系、ダイレクトシーケンスによる変異直接検出(検証)系を整備し、遺伝子診断システムを完成させた。 4)三角頭蓋形成に重要なシグナル伝達経路の解析 ヒト慢性骨髄性白血病細胞株K562で、CD96安定発現細胞株を樹立した後、CD96と反応する細胞外マトリックスの検索を行った。 コラーゲンI,IV,フィブロネクチン、ラミニン、poly-D-lysineをコートした培養プレートで、マトリックスタンパク質への接着性を経時的に計測した。結果、フィブロネクチンを介したシグナル伝達が行われている可能性が示唆された。
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