研究概要 |
本年度は臍帯からヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)の効率的な単離培養法の確立と、単離培養したHUVECを用いてTNF-αのアポトーシス誘導および各種消炎鎮痛剤の影響について検討した。 (1) HUVECの単離培養法の確立。 本研究への協力の同意が得られた、当施設で出生した児より臍帯を提供して頂き、唐崎らの論文(J UOEH,18(4):281-285,1996)を参考にして、施設内でHUVECの単離培養法を確立した。単離培養法の確立により、常時十分量のHUVECを用いた検討が可能になった。 (2) TNF-αのHUVECにおけるアポトーシス誘導。 TNF-α(10pg/ml~100ng/ml)を培養液に添加し、24時間後にAPOPercentage法によるアポトーシスの評価では、TNF-αは濃度依存的にアポトーシスを誘導し、以後の実験のTNF-α至適濃度を10ng/mlに決定した。 (3) 各種消炎鎮痛剤のTNF-α存在下でのHUVECへの影響。 消炎鎮痛剤としてメフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、イブプロフェン、インドメタシン、アセトアミノフェンを用い、TNF-α(10ng/ml)存在下でのHUVECへの細胞毒性をMTT法で評価した。薬剤濃度250μM、125μMでの検討ではイブプロフェン、アセトアミノフェンはともに細胞毒性は認められなかったが、メフェナム酸はTNF-αの存在により細胞毒性が増強された。ジクロフェナックナトリウム、インドメタシンは125μMでは毒性を示さなかったが、250μMでは細胞毒性を示した。
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