研究概要 |
血縁関係のない熱性けいれん患者8名を対象とし、Illumina社のinfinium BeadChipを用いて、全ゲノム上に平均2.7kb間隔で存在する55万個のSNP(一塩基多型)と6万個のCNV(コピー数多型)の遺伝子型を決定した。遺伝子型決定にはIllumina BeadArray Readerを用いた。データはIllumina BeadStudio Softwareで解析を行い、ゲノム上の遺伝子の重複や欠失を検出じた。 まず最初に、これまでに報告されている9つの熱性けいれん遺伝子座(2q23-q24,3p24.2-p23,5q14-q15,5q31.1-q33.1,6q22-q24,8q13-q21,18p11,19p13.3,21q22)について解析を行った。FEB1(8q13-q21)領域内に2kbの欠失が同定された。次に残りの全染色体領域について解析を行った。8つの染色体にわたり17か所の欠失領域が同定された(1q25.1,3q26.1[3か所],3q28[2か所],4q13.2,4q26,6p21.33,6p21.32,8q23.3,8q24.22,9p11.2,11q11,12p11.21,12q15,13q21.1)。17領域のうち10領域は既知の遺伝子が存在しない領域であった。DGVデータベース検索により、今回同定された18か所の欠失領域はすべて報告のあるCNVであることが確認された。 今回同定された欠失領域はすべて報告のあるCNVであったが、そのうち8か所には既知の遺伝子が存在している。熱性けいれんは頻度の高い多因子疾患であり、これらのCNVが発症にかかわっている可能性が考えられる。今後は症例数を増やし解析を行い他の重複や欠失領域を同定するとともに、関連解析によりこれらのCNVと熱性けいれんとの関連を検討していく予定である。
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