研究概要 |
新たにBeadChipを購入し、アレイ解析を行った。血縁関係のない熱性けいれん患者16名を対象とし、Illumina社のHumanCytoSNP-12v2.1 BeadChip Arrayを用いて、全ゲノム上に平均9.7kb間隔で存在する30万個のSNP(1塩基多型)の遺伝子型を決定した。遺伝子型決定にはIllumina BeadArray Readerを用いた。データはIllumina GenomeStudio Softwareで解析を行い、ゲノム上の遺伝子の重複や欠失を検出した。 まず最初にこれまでに報告されている10か所の熱性けいれん遺伝子座(2q23-q24, 3p24.2-p23, 3q26.2-q26.33, 5q14-q15, 5q31.1-q33.1, 6q22-q24, 8q13-q21, 18p11, 19p13.3, 21q22)について解析を行い、その後、他の染色体領域についても解析を行った。染色体上に遺伝子の欠失領域・重複領域が複数同定されたが、そのほとんどは平成23年度にすでに同定されている領域であった。今回新たに1番染色体(1q43)、5番染色体(5q14)、X染色体(Xp22.2)に重複領域が同定された。これらのうち、1q43およびXp22.2の重複領域はすでに報告のあるCNV(コピー数多型)であったが、5q14領域についてはこれまでに報告のない重複領域であった。 今回同定された5q14の重複領域は、以前我々が同定した熱性けいれん遺伝子座(FEB4:5q14-q15)に含まれており、この重複領域が熱性けいれん発症にかかわっている可能性が高いと考えられる。今後はオリゴヌクレオチドアレイ解析法以外の方法でこの領域の重複を確認するとともに、他のサンプルを追加し、本領域に重複があるかどうかを検索していく予定である。
|