高インスリン高アンモニア血症はGlutamate Dehydrogenase (GDH)のGTPの抑制制御が失われるため、GDH活性の上昇をきたし、肝細胞で高アンモニア血症を膵β細胞で高インスリン血症をもたらす。高アンモニア血症の発症機序は必ずしも明らかではなく、その発症機構の解明と治療法の開発のために、動物モデルを作成した。 L413V GDHcDNAをベクター(pASCXa)にサブクローニングし、Swalで切断後、アガロースゲルを用いて、CMVエンハンサー+chiken b-actinプロモーター+L413VcDNAを精製した。この遺伝子をマイクロインジェクション法により、マウスの受精卵へ導入し、変異GDHcDNAをユニバーサルに発現するトランスジェニックマウスを作成した。遺伝子の導入はL413V GDHcDNAの5'-と3'-の近傍領域をPCR増幅合成することで確認した。 ヘテロのトランスジェニックマウスにて、肝組織での基礎GDH活性はコントロールマウスと同等であったが、GTP抑制効果は低下していた。1晩晩の空腹後の血糖は有意に低下し、アンモニアは上昇傾向を認め、動物モデルとしての有用性を確認した。肝組織でのアミノ酸、有機酸分析にて尿素サイクル代謝の状況を把握し、さらに、生体内代謝の状況を把握するためにメタボローム解析、mRNAレベルでの発現を見るためにDNAアレイを用いた解析を行っている。肝臓以外の臓器:心臓、腎臓、膵臓、筋肉についてメタボローム解析、mRNAレベルでの発現解析を行い、臓器間の代謝ネットワークでのGDH遺伝子異常の影響を明らかにし、高アンモニア血症に対する治療法を開発する。
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