研究課題/領域番号 |
21591335
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
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研究分担者 |
鈴木 秀典 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30221328)
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 助教 (30386156)
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キーワード | 脳・神経 / ストレス / セロトニン / 早期介入 / SSRI / セロトニン1A受容体 |
研究概要 |
哺乳類において、胎児期および生後間もない時期は脳神経系の発達にとって重要な時期である。妊娠後期のラットを用い、母体に負荷したストレスが子の脳神経系の発達に与える影響を解析するために、ストレス負荷と同様の効果を持つと考えられる糖質コルチコイド投与を行った。妊娠後期~出産時まで糖質コルチコイドを投与された母親から生まれたオスの子供において、成長後に不安様行動が引き起こされることが判った。この成長後の不安様行動が出現する前の段階において、不安病態誘導に関与すると考えられる脳内分子変化を観察したところ、セロトニン1A受容体のmRNAが前頭前野で生後4、10、13週において、脳由来神経栄養因子(BDNF)のタンパク質は前頭前野と海馬で生後4週において減少が観察された。一方、セロトニン2A受容体のmRNAは前頭前野において変化しないことが判った。また、セロトニンそのものの濃度も海馬では生後3、4週で減少し、前頭前野では生後12週で増加するという変化が観察された。 これらの分子的および行動的な変化は生後の3週間にわたるセロトニン選択的再取り込み阻害薬(SSRI)を処置することによって改善された。また、同じ期間セロトニン1A受容体作動薬を処置すると行動変化の改善が認められ、SSRIによる改善作用がセロトニン1A受容体を介していることが示唆された。 以上に関して、英文雑誌"Neuropharmacology"に論文"Early intervention with fluoxetine reverses abnormalities in the serotonergic system and behavior of rats exposed prenatally to dexamethasone"として投稿し、受理された(in press)。
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