研究概要 |
昨年度は,脳波・近赤外線スペクトロスコピーを用い,低酸素虚血負荷による大動物(新生仔豚)の臨床的けいれん発作モデルを作成することに成功した.本年度は,臨床的けいれん発作を高率にきたす受傷深度を再現しながら,テレメトリーによる4チャンネル脳波とビデオ画像の持続記録システムを構築し,臨床的発作・電気生理学的発作・両者が同時に観察される狭義の新生児けいれん発作を区別して定量化することを目標とした.7-8月の口蹄疫発症のために,動物実験開始が遅れたが,秋以降に新生仔豚が再び入手可能となり,本年度は全14頭のモデル作成が可能となった.生後4日以内の新生仔豚に対し,全身麻酔下に背景脳波活動と脳組織酸化ヘモグロビンレベルをモニターしながら低酸素負荷を与えた後,頭皮下電極を包埋固定し,ハウスメイドテレメトリーシステムを用いて脳波の24時間持続記録を行った.48時間の観察期間の後,全身麻酔下に安楽死させ,脳病理を評価するとともに,脳波・ビデオ画像を後ろ向きに解析する.現在,長時間脳波記録を評価用のフォーマットに変換し,レビュー可能な波形に最適化するソフトウェア上の作業を行っている.seizure burdenの評価だけでなく,圧縮振幅脳波構築システムの確立により,臨床診断を想定した評価・治療戦略につながる実践的なデータ取得を目標とする.
|