研究課題
自閉症は社会的な相互交渉の質的な障害・コミュニケーション機能の質的な障害・活動と興味の範囲の著しい限局性の3つを主な特徴とする発達障害である。強い遺伝的素因を伴う生物学的基盤があると考えられているが、原因を特定できる症例は10%程度に限られている。本研究では自閉症患者50名の検体を独自に設計するオリゴDNAアレイを用いてCGH法によりスクリーニングし、これまでは検出が不可能であったミクロなレベルの染色体異常を持つ患者を見いだす。さらに、同定されたゲノム領域に存在する遺伝子(群)の詳細な解析を通じて、特定の遺伝子に点変異を持つ自閉症患者を見いだし、当該遺伝子と自閉症との関係を確立する。本年度は、「アレイCGH法を用いた発達遅滞患者における微細な染色体構造異常の同定」研究として、当センター倫理委員会に申請し、承認された。現在、自閉症スペクトラム群と評価された患者を対象とし、症例を集積していく。集積した検体について、自閉症の関連遺伝子群について症例の解析を行った。15番染色体長腕重複症例、2番染色体長腕欠失症例において、各々の領域には自閉症との関連が強く示唆されている遺伝子が存在する。これらの症例は軽度精神運動発達遅滞に加え、周囲とのコミュニケーション、言語の遅れ等の自閉的傾向などの臨床症状を呈することから、当該領域の遺伝子の関与が考えられ、解析をすすめていく。また、自閉症の解析に特化したオリゴDNAアレイのデザインの作成にあたり、60塩基程度の合成DNAプローブをゲノム全域に計6万個程度のプローブを配置するが、とくに、(1)X染色体上の遺伝子、(2)欠失によって発達遅滞をともなう奇形症候群を発症する遺伝子上に特異的にプローブ(3)これまでに同定された、約10種類の自閉症関連遺伝子およびその相同遺伝子や、上流・下流に位置する遺伝子の近傍にプローブを重点的に配置したアレイを設計する。
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Am J Med Genet A. 149
ページ: 702-705
ページ: 496-500