研究課題/領域番号 |
21591342
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
高橋 幸利 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), 臨床研究部, 部長 (70262764)
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研究分担者 |
西村 成子 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), 室員 (60393120)
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キーワード | 急性脳炎 / 辺縁系脳炎 / 卵巣奇形腫 / GluRε2(NR2B) / GluRζ1(NR1) / アポトーシス / サイトカイン |
研究概要 |
1. GluRε2(NR2B)以外のリンパ球発現GluRに対する抗体産生の確認 非傍腫瘍性NHALEにおいて、抗GluRε2(NR2B)抗体、抗GluRζ1(NR1)抗体、抗GluRδ2抗体を測定したところ、病勢と比例して変動していると思われるのはNMDA型GluRである抗GluRε2抗体及び抗GluRζ1抗体のみであった。中枢神経系で主に吸着するのは抗GluRε2抗体で、その吸着は抗体濃度に比例して回復期まで持続することが推定され、抗GluRζ1抗体は初期に吸着が起こるが、20日以降は吸着が少なくなることが推測された。 2. 急性脳炎病態生理における抗GluRε2抗体の分子細胞生理学的影響の解明。 抗GluRε2抗体陽性NHALE患者髄液による培養ラット胎児神経細胞の10DIVでのアポトーシスへの影響の検討では、髄液全体ではアポトーシスの増加が、髄液IgG分画ではアポトーシスの抑制がみられた。このことからNHALE患者髄液IgGはNMDA型GluRを内在化し、興奮毒性を抑制し、アポトーシスを防ぎ、脳を守る作用があるが、髄液中のIgG以外の成分はアポトーシスを促進し、興奮毒性などをもたらしている可能性が明らかとなった。 3. 急性脳炎病態生理における抗GluRε2抗体の電気細胞生理学的影響の解明。 ラット培養神経細胞におけるCa2+イメージングによる電気細胞生理学的影響の検討を行うための基礎的検討を行っている。培養細胞の付着が弱く、実験系がまだ確立できていない。 4. マクロファージ機能の検討 抗GluRε2(NR2B)抗体が産生される理由について検討するために、アポトーシス細胞を処理するためのマクロファージの活性化の状況を、IL-12、GM-CSF、MCP-1等を測定し評価するため、40例で血清・髄液のBioPlexを用いたサイトカイン測定を終了した。2011年度にデータを評価する予定である。
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