【研究の目的】 研究の目的は、ダウン症乳児の約10%にみられる一過性骨髄異常増殖症(TAM)を含む乳児急性骨髄球性白血病とダウン症関連骨髄球性白血病(ML-DS)の発症機構を分子生物学的に明らかにすることである。特に、本研究においてはシグナル伝達系に関連する因子に注目し、新たなクラスI遺伝子変異の単離を目指している。 【平成22年度の研究結果】 レトロウィルス・ライブラリーの改良:PCR法を取り入れた完全長cDNAのクローニング法をライブラリー構築に組み入れた。また、ML-DS細胞株に発現量調節可能な変異GATA1発現ベクターおよびsiRM発現ベクターを導入し、ML-DS細胞内のGATA因子の発現量を人為的に変化させることにより、どのような表現型の変化が引き起こされるか検索した。しかし、GATA1発現量調節型ベクターの機能を評価したところ、感染効率は高いが細胞毒性によって、樹立できた細胞が非常に少ないことが分かった。また一過性の発現導入と表現型が一致しない部分もあることが判明した。 クラス2変異を考えられていた転写因子GATA1の変異が、その発現量のちがいによってクラス1様の活性をもつ可能性が出て来た。この知見はBloodに発表することができた。
|