研究概要 |
千葉市で設定した250名の出生コホートについて、生後7か月から1歳時におけるアレルギー発症の有無にもとづき、アレルギー発症児、非発症健康児に群別した。この中からアレルギー発症児10名、非発症児10名の凍結臍帯血単核球を解凍して、LPS(TLR4 リガンド)で刺激した。昨年度はマイクロアレイで発症群に比較して発症群での発現が有意に低かった分子のmRNAをreal time PCRで定量を行い、IL-10、IL-12p40,IL-6,Indoleamine2,3 dioxgenase(IDO)のmRNA発現は発症群において非発症群よりも有意に低値であることを示した。今年度は、他の免疫関連遺伝子、GM-CSF,TNF-a,PDE4DIP,G-CSF,TNIP,IFIT1,PTGS2,KCNJ2,IL1F9,CPM,CCL22についてもreal time PCRを行った。GM-CSFはアレルギー発症児で有意に低値であり、CPM,PTGS2はアレルギー児で低下傾向にあることが確認された。一方、アレイの結果とは異なり、IFIT1,C-CSFについてはアレルギー児で有意に高値であり、その他の遺伝子については2群間で差異を認めなかった。以上の結果からアレルギー疾患を発症する児では出生時から自然免疫系細胞におけるTLRからの刺激に対する反応性がアレルギー非発症児とは異なっていることが示唆された。この機序の解明はアレルギー疾患発症の予防、ハイリスク児の早期発見につながることが期待される。
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