今年度に得られた成果は以下の通りである。 1)FHL2におけるEBV感染とCD5発現の低下; EBV-HLHの病態解析の過程で、perforin欠損によるキラー活性障害を示す症例では、EBV初感染に伴い異常なT細胞活性化と高サイトカイン血症、血球貪食症候群を発症することが明らかにされた。これらの成果については現在論文作成中である。また、FHL2以外のFHL症例におけるCD5発現の特徴について検索中である。 2)キラーT細胞への選択的EBV感染と遷延性肝機能障害の発症病態; EBV-HLHと類似の病態を示す症例の中に、主としてキラー活性を示す細胞へのEBV感染が特徴的な臨床像を示すことが明らかとなった。このような症例の病態についての解析が進行中である。 3)XLPならびにXIAP欠損症におけるEBV-HLHの病態; XLPやXIAPなど、NK活性の低下を伴う原発性免疫不全症におけるEBV-HLHでは、(1)通常のEBV-HLHと異なり感染標的細胞がB細胞であること、(2)NK活性の低下が二次的な高サイトカイン血症を惹起すること、(3)このような病態においては、rituximabなど、B細胞を標的とした治療が有効である可能性を示した。
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