研究概要 |
損傷組織の修復と線維化に関与する線維細胞は、喘息の気道リモデリングにも関与していると推測されている。線維細胞の機能とその制御機構は不明の点が多く、Th2サイトカインのIL-4、IL-13が増殖を促進することが知られているに過ぎない。近年、喘息の病型によっては好中球が関与する病態へのIL-17の関与が推測され、気道感染に対する自然免疫応答でのTSLPやIL-33が喘息の病態に重要な役割を持つことが推測されている。しかし、これらサイトカインの気道リモデリングに対する作用は不明の点が多い。これまでの検討で、線維細胞の可溶性CD40L刺激で増強するIL-6やVEGF産生はIL-17によりさらに増強することを明らかにしたが、抗炎症作用のあるIL-10は可溶性CD40L刺激で増強し、IL-17刺激が加わると濃度依存性に抑制されるのに対し、線維化作用もあわせてあるとされるTGF-β産生は可溶性CD40L刺激で抑制されIL-17の刺激で有意の変化を示さず、IL-10とTGF-βは別の産生制御を受けていると考えられた。また、IL-17と可溶性CD40L刺激によるIL-6やIL-10,TGF-β産生はデキサメサゾン投与により抑制され、線維細胞のサイトカイン産生機能はステロイドにより非特異的に抑制されると考えられた。一方、TSLP、IL-33は線維細胞の増殖を濃度依存性に増強することから、気道リモデリングに関与することが示唆された。
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