損傷組織の修復と線維化に関与する線維細胞は、喘息の気道リモデリングにも関与していると推測されている。線維細胞の機能とその制御機構は不明の点が多く、Th2サイトカインのIL-4、IL-13が増殖を促進することが知られているに過ぎない。近年、気管支喘息の病態形成に中心的役割を果たしているTh2細胞の分化誘導には、気道上皮細胞の自然免疫応答により産生されるTSLPやIL-33が関与していることが推測されているが、IL-33が繊維細胞にどのような影響を与えるかは不明である。そこで、本年度の研究では、IL-33の線維細胞機能に対する作用を中心に解析した。その結果、線維細胞はIL-33のレセプターであるST2とデコイレセプターと考えられている可溶性ST2のmRNAを発現していた。ST2の細胞表面への発現は線維細胞の前駆細胞とされる単球での発現は多いが、線維細胞ではその発現が減少していた。IL-33は濃度依存性に線維細胞の増殖とα平滑筋アクチンの発現を増強した。ゼラチンザイモグラフィーでは、IL-33は濃度依存性にMMP9の発現を増強した。デキサメサゾン前処置でα平滑筋アクチンの発現やMMP9の産生は抑制されたが、ロイコトリエン拮抗薬では抑制されなかった。IL-33はTh2細胞の分化にかかわるだけでなく、アレルギー性炎症の修復過程における気道リモデリングに対して線維細胞を介し重要な役割を持つと考えられた。また、IL-33による線維細胞の影響の抑制にはステロイドが有効と考えられた。
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