研究概要 |
小児急性リンパ性白血病(ALL)におけるNADPHoxidase(Nox)5依存性に産生されるreactive oxygen species(ROS)の、癌形質獲得への関与を分子生物学的に証明するための基礎実験を行った。 (1)Nox5による細胞増殖とcell survivalのシグナル伝達経路の調節 Nox5siRNAおよびコントロールsiRNAを導入したMT2細胞株を10%FCS存在下で48時間培養し、p38MAP kinase,Akt,ERKのリン酸化をウエスタン解析により比較検討した。Nox5siRNA導入MT2細胞株はコントロールsiRNAを導入細胞株に比し、培養48時間後のリン酸化AktおよびERKの減少すなわち活性化の抑制が明らかになった。 (2)BCR/ABLによるNox5発現の誘導 HEK293細胞にBCR-ABLを導入したところNox5発現が誘導された。さらにJAK inhibitorやSTI571を添加するとNox5誘導が抑制された。またSTAT5B siRNAを添加してBCR-ABLをtransfectしたところNox5発現誘導は抑制された。これらのことからNox5はBCR-ABLにより誘導され、そのシグナル伝達経路としてJAKI/STAT5Bが示唆された。 (3)マウスにおける腫瘍造成能の比較検討 Nox5siRNAおよびコントロールsiRNAを導入したMT2細胞株をそれぞれ免疫不全マウスに移植したところ、コントロールに比しNox5siRNA導入した細胞での造腫瘍速度およびサイズの減少がみられた。
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