本研究の目的は(1)アレルギー発症の遺伝・環境の直接的相互関係の遺伝子分子レベルでの解明と(2)アレルギーの画期的予防・治療法の確立(テーラーメイド医療を含む)である。 平成21年には(1)アレルギー(アトピー)の病因遺伝子群を以下の方法で系統的、大局的に解明し、新規にアレルギーの系統的遺伝子学的分類を確立した。アレルゲン侵入からアレルギー症状出現までの全免疫アレルギー反応系を新たに遺伝子学的に分類した。すなわち(1)抗原提示(2)過剰なIgE産生(3)メディエーター産生(4)標的臓器の4つに、まず、大きく分類した。上記の結果を中心として世界的報告を基盤にしてアトピー(アレルギー)を系統的に遺伝子学的に分類した。(2)アレルギー病因遺伝子群分子群と環境因子・地球規模的環境因子との直接的関連を解明した。遺伝子発現と抑制(RNA干渉など)およびエピジェネティクス(遺伝子・分子・生態医学)遺伝子・分子に及ぼす環境因子の直接的関与を検討するため、明らかになったアレルギー(アトピー)病因遺伝子の変異と発現と抑制について、in vitroで環境因子・地球規模的環境因子であるpH、温度など種々の条件で刺激し、種々のサイトカインの産生、当該遺伝子及びレセプター遺伝子の変異と発現の異常を明らかにした。加えてTLR(Toll-like receptor)群遺伝子の解析を進めた。以上により、遺伝子発現はpHや温度により大いに変化していることを明らかにした。 以上を通して環境因子が及ぼすRNA modification、RNA editing、alternative splicingへの直接的関与とアレルギー発現へのevidenceを世界に先駆けて明確にした。 次年度以降は、これらの成果をもとにして、アレルギーの病因遺伝子群の環境・地球規模的環境下における構造生物学的解明(構造プロテオミクス)と機能異常との関連を解明し(構造機能相関)、治療予防法を開発する。
|