研究概要 |
慢性肉芽腫症(CGD)は、殺菌に必須である酵素、食細胞NADPHオキシダーゼの遺伝子異常により、好中球、好酸球や単球による殺菌能が低下し、小児期から致死的な細菌及び真菌感染を繰り返す疾患である。応募者らはこれまで、NADPHオキシダーゼの中心酵素であるgp91phoxの解析を進めてきた。特に転写調節から翻訳への過程を明らかにすることにより、CGDの病因や治療法の開発に努めてきた。これはgp91phoxに限らず、他のタンパク質の発現機構や生命現象の解明にも応用されるものと考える。Gp91phoxの発現に関しては、プロモーター異常型CGD(Kuribayashi et al., BBRC'1995)を世界で最初に発見したことを機に解析を進め、昨年度はヒストンのアセチル化に関与するGCN5によるgp91phox発現の調節機構を明らかにした(Kikuchi H, Kuribayashi et al., J Immunol'2011)。同様にNADPHオキシダーゼを発現しているBリンパ球においても、このGCN5は、SykやBtkなどのガン遺伝子の発現を制御しながら、酸化ストレスから細胞を保護していることを示唆した(Kikuchi H, Kuribayashi et al., BBRC'2011)。現在転写後mRNAのスプライスの機構の解析途上であり、その一部を投稿した(Tropical Medicine and Health Accepted for publication on the forth of April in 2011, Manuscript Number:2011-08)。
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