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2010 年度 実績報告書

アトピー性皮膚炎発症におけるキチナーゼ様タンバク質の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21591375
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

吉田 尚弘  独立行政法人理化学研究所, アレルギー免疫遺伝研究チーム, チームリーダー (20281090)

研究期間 (年度) 2009 – 2011
キーワードChitinase3like1 / アトピー性皮膚炎 / 無菌飼育環境 / 皮膚常在細菌 / 黄色ブドウ球菌 / Th2からTh1への推移
研究実績の概要

研究者が開発した常染色体性劣性遺伝形式を取るアトピー性皮膚炎モデルマウスでは出生後8週から10週で掻痒感の激しい皮膚炎を発症し、3週後に血清IgEが上昇するなどのTh2傾向を、20週後にはTh1の活性化も認める。このミュータント皮膚においてキチン質結合活性をもつchitinase3like1(chi3l1)の発現が疾患発症前から亢進していることから、皮膚炎発症におけるこの分子の役割を検討した。表皮で特異的にchi3l1を発現するトランスジェニックマウスを作製したところ、表皮の肥厚などの異常分化を認めたが、皮膚炎症状は現在までのところ認めていない。これとアトピー性皮膚炎マウスとの交配を現在進めている。
一方、表皮環境における微生物の影響を調べるためにアトピー性皮膚炎の表皮での黄色ブドウ球菌のコロニー形成を調べたところ、表皮常在性の黄色ブドウ球菌は発症まではミュータントホモでもヘテロでも野生型でもほとんど認められなかったが、皮膚炎発症後はミュータント皮膚で多数のコロニー形成を認めた。また、皮膚炎を発症していないヘテロ表皮において生後12週令以降から黄色ブドウ球菌のコロニー形成を認めた。次に無菌環境下でミュータントホモを飼育したところ、生後20週までの飼育では皮膚炎を発症しなかった。
以上のことからこのアトピー性皮膚炎モデルでは微生物による刺激が疾患発症に重要であること、病原性細菌が常在しやすい環境を持つことが確認できた。現在、無菌状態とSPF環境での皮膚の常在細菌のアレイ観測を始めており、どの細菌が皮膚炎発症に決定的であるのか、それとChi3l1との関係性についての実験もトランスジェニックマウスを用いて進めている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Runx1/Cbf β2 complexes are required for lymphoid tissue inducer cell differentiation at two developmental stages2011

    • 著者名/発表者名
      Masashi Tachibana
    • 雑誌名

      J Immunol.

      巻: 186 ページ: 1450-1457

    • 査読あり
  • [雑誌論文] xCT definiency accelerates chemically induced tumorigenesis2010

    • 著者名/発表者名
      Ami Nabeyama
    • 雑誌名

      xCT definiency accelerates chemically induced tumorigenesis

      巻: 107 ページ: 6436-6441

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An atopic dermatitis-like skin disease with hyper-IgE-emia develops in mice carrying a spontaneous recessive point mutation in the Traf3ip2 (Act1/CIKS) gene2010

    • 著者名/発表者名
      Yoshibumi Matsushima
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology

      巻: 185 ページ: 2340-2349

    • 査読あり
  • [学会発表] ミュタジェネシスを利用したアレルギー疾患モデル開発2010

    • 著者名/発表者名
      吉田 尚弘
    • 学会等名
      第81回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-03-26

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公開日: 2018-01-18  

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