研究概要 |
本研究を通じて、MYCNが直接Bmi1プロモーターに結合することを見出し、MYCNがBmi1の転写を活性化することを明らかにした。さらに、Bmi1が神経芽腫細胞の増殖を調節する重要な因子の一つであることを、WST-8アッセイおよび軟寒天培地中でのコロニー形成アッセイで確認した。また、Bmi1をノックダウンした細胞では、これらのWST-8アッセイおよび軟寒天培地中でのコロニー形成アッセイで増殖能・コロニー形成能が低下することも確認した。この増殖・造腫瘍調節にBmi1を含むポリコーム複合体によるクロマチン修飾の制御が重要であるというデータを得、Bmi1を含むポリコーム複合体によるクロマチン修飾の制御がどのような遺伝子に及び、神経芽腫細胞の発がん制御にどのような影響を及ぼしているかを明らかにするかを検討した。その結果、Bmi1の転写抑制の標的として、がん抑制遺伝子KIFlBbとTSLClが重要であることを発現遺伝子のチップアッセイによる網羅的解析で見出した。Bmi1の過剰発現株とノックダウン株を用いて、Bmi1がKIFlBbとTSLClの転写を阻害していることを複数の神経芽腫細胞株を用いて明らかにした(Ochiai H et al.,Oncogene, 2010, May 6;29(18):2681-90)。更なるBmi1のターゲット検索を、Lentivirus (Sigma-Aldrich)によって産生されたshRNAを用いてBmi1ノックダウンした神経芽腫細胞株でおこなった。またLentivirusによってBMI 1を過剰発現し、この神経芽腫細胞を用いてChIP on chipアッセイを行った。この網羅的スクリーニングの結果、重要ながん抑制遺伝子RUNX3がBMI1の新たなターゲットである可能性が示唆された。
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