研究課題
1.神経芽腫細胞において、BMI1ノックダウンでRUNX3転写再活性化(de-repression)が起きるかをqPCRおよびsemi-quantitative RT-PCRで検討したところ、複数の細胞株(神経芽腫SH-SY5Y,NB69)でRUNX3転写再活性化が認められた。さらに小細胞肺がん細胞株SBC-3,QG90でもRUNX3転写再活性化が認められ、BMI1によるエピジェネティックなRUNX3転写抑制が、組織を超えた普遍的な現象であることが示唆された。2.BMI1ノックダウンによって様々な神経芽腫細胞で細胞死を誘導できることを見出している。この細胞死はアポトーシスであり、現在そのメカニズムを解析している。このBMI1ノックダウン由来アポトーシスのメカニズムを詳細に検討したところ、RUNX3の占める役割よりもBMI1ノックダウンによるDNAダメージ誘導が重要な役割を行っていることを見出した。BMI1ノックダウンによって、まずヌードマウス移植腫瘍の顕著な増殖抑制とアポトーシス誘導をTUNEL法で明らかにした。さらに細胞レベルの実験においてBMI1ノックダウン誘導アポトーシスに先立って、DNAダメージの際に認められるγ-H2Xの増加と、ATMSer1981リン酸化の増加が認められることを見出した。これは神経芽腫におけるBMI1ノックダウン由来アポトーシスのメカニズムとしてきわめて重要と考えられる。3.上記のBMI1ノックダウン由来アポトーシスについては、BMI1のポリコームタンパクとしての機能が重要化が明らかにされていなかった。そこでBMI1ノックダウンに先立ってポリコームタンパクPRC2群のKey分子EZH2またはPRC1群のKey分子Ring1b(ヒストンH2ユビキチンリガーゼ)をレンチウイルスで発現し、このアポトーシスをキャンセルできるかを検討したが、部分的なものであった。BMI1のポリコームに関連しない機能が、このアポトーシス誘導に重要である可能性が示唆された。難治性神経芽腫の分子標的療法開発に重要な知見と考えられた。
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