研究課題
本年度ではUNC5Dによるアポトーシス制御メカニズムを解明するため、UNC5Dがcaspaseによって切断されうるかどうかを検討した。まず、in vitro caspase cleavage assayを行った。その結果、caspase 2とcaspase 3がUNC5DをD416サートに切断することが判った。さらに、細胞にUNC5Dを過剰発現し、DNA損傷を引き起こすCDDPにより内在性のcaspaseを活性化させた際にUNC5Dのcleavageが認められた。この切断はcaspase inhibitorを添加した条件下で抑制されたことから、UNC5Dがcaspase2/3のターゲットであることが示された。次に、神経芽腫細胞株に野性型、UNC5Dの非切断型変異体(D416N)及びcaspaseの切断によりリリースされた細胞内ドメイン(UnICD)をそれぞれ過剰発現し、アポトーシスを評価するTUNNEL assayを行った。その結果、UnICDがUNC5Dと同様にアポトーシスを誘導するが、D416N変異体がアポトーシス誘導能を失うことを明らかにした。さらに、UNC5ファミリーリガンードであるnetrin-1を添加した条件下で検討したところ、netrin-1の添加はUNC5Dのdeavage及びアポトーシスの誘導を著しく抑える一方、UnICDによるアポトーシスの誘導が変わらないことが判った。これらの結果はcaspaseによりUNC5Dから細胞内ドメインUnICDの放出がUNC5Dの細胞死誘導能に極めて重要であることと、リガンードであるnetrin-1がUNC5Dのcleavageを抑制することによって依存性受容体UNC5Dの細胞死誘導能を制御することが示唆された。さらに、caspaseによりUNC5Dの切断及びUNC5Dの細胞死制御機能は野性型及びUNC5Dのknockoutマウス由来のMEF細胞を用いて、DNA損傷応答における反応性を検討することにより検証した。その結果、CDDP、ADR及びTNFα等様々な処理に応じて細胞死を引き起こした場合に、UNC5Dの誘導及びcleavageが野生型のMEF細胞に見出された。さらに、野性型のMEF細胞と比べ、UNC5D欠失の細胞はCDDPで処理した条件下でアポトーシス細胞の比率は減少していることを判明した。これらの結果はUNC5Dが細胞死において重要な役割を果たすことが示唆された。
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Genes Cells 14(7)
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