研究概要 |
本研究では、造血幹細胞移植において患者・ドナー間の副組織適合抗原(miHA)が異なることで発症するGvHDのメカニズムを複数の蛍光色素にてマーキングしたmiHAが異なるマウス造血細胞を用いて解析する。 本年度は、以下の実験を行った。 1)研究者が樹立した緑色蛍光色素(EGFP)、檀色蛍光色素(huKO)、赤色蛍光色素(mPlum)発現レトロウイルスベクター(DNsap)を用いて、これら蛍光色素遺伝子をB6マウス由来の骨髄細胞に導入し、致死量放射線照射したマウスに移植することで、各蛍光色素の発現がマウス骨髄造血に与える影響を解析した。その結果、いずれの蛍光色素導入骨髄細胞も致死量放射線照射したマウスの骨髄造血能を再構築したことから、その影響は極めて低いものと思われた。 2)使用するマウスとしてC56BL/6(B6)(H-2^b,Ly5.1)とBalb/c(H-2^d)を交配させたF1(BDF1,H-2^<b/d>)を用意し、移植実験に備えた。 3)B6マウス(Ly5.1)より骨髄細胞を採取し、DNsapTK/mPlumウイルスを感染させ、これら造血幹細胞を致死量放射線照射したB6マウス(Ly5.1)に移植して骨髄再構築能を確認している、また、in vivoにおけるガンシクロビル(GCV)の効果を確認するため、これらマウスにGCVを投与し、Ly5.1細胞の死滅率を検討している。 4)今後はB6マウス(Ly5.1)の骨髄にhuKO遺伝子を導入し、上記マウスより得られたPlum陽性CD8^+細胞をともに放射線照射したC3Hマウス(Ly5.2)に移植する。そして、体重減少など急性GvHDの症状が出現した段階で、C3HマウスにGCVを投与し、Plum陽性CD8^+陽性細胞を死滅させ、移植時に移入されたドナーCD8+細胞の影響の無い状態でのGvHDの変化を解析する。
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