研究課題
現在、広くヒト主要組織適合抗原(HLA)が一致した同種造血幹細胞移植(allo-SCT)が行われているが、allo-SCTにおいても患者・ドナー間の副組織適合抗原(miHA)は一致しておらず、特に重篤な移植片対宿主病(GvHD)が発症する。本研究では、miHAが異なることでGvHDを発症するマウスを用いて、そこに関与するT細胞や抗原提示細胞(APC)などを異なるマーカー遺伝子にて識別し、移植後からGvHD発症までの各々の細胞の相互関係を解析する。これまで、上記移植の系において必要となる緑色蛍光色素EGFP、橙色蛍光色素huKO、赤色蛍光色素mPlumならびに自殺遺伝子であるヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ遺伝子を発現するレトロウイルスベクターDNsapを構築し、水疱性口内炎ウイルスGタンパク(VSV-G)を発現する293gpgにこれらベクターを導入してウイルス産生細胞株を樹立した。そして、これらウイルスをmiHAのみが異なるB6、C3Hマウスの造血幹細胞(CD34^+c-KIT^+Lin^-細胞)に感染させ、致死量放射照射したマウスにこれら遺伝子導入細胞を移植することでマウス造血能が再構築することを確認した。現在、HSV-TK/mPlum遺伝子導入造血幹細胞を移植したB6マウス(Ly5.1)より、移植後12週目に脾臓CD8^+細胞を回収し、B6マウス(5.1)の骨髄細胞にhuKO遺伝子を導入した細胞とともに放射照射したC3Hマウス(5.2)に移植している。これは、移植初期ではC3HマウスAPCが自己抗原を提示し、ドナーCD8^+細胞が活性化し、その後huKO陽性ドナーAPCがC3HマウスのAPCに代わりcross presentationすることでGVHDが継続することが予想されるためである。そして、体重減少など著明な急性GvHDが発症した段階で、これらC3Hマウスにガンシクロビルを投与し、ドナーCD8^+細胞を死滅させ、移植時に移入されたドナーCD8^+細胞の影響の無い状態でのGvHDの変化を解析する予定である。
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