C型インフルエンザウイルスのNP遺伝子分節にプライマーとTaqManプローブを設定したリアルタイムPCR法を作成した。これを用いて、2010年1月から8月までに呼吸器感染症の小児から採取した鼻咽腔拭い液1203検体について、C型インフルエンザウイルスの核酸検出を行った。この結果、核酸検出陽性は51検体、同じ検体を用いて行った細胞培養法によるC型インフルエンザウイルス分離陽性は34検体だった。ウイルス分離陽性で核酸検出陰性の検体はなかった。ウイルス分離陰性の17検体のC型インフルエンザウイルス遺伝子のコピー数は462コピー/mlから3.5×10^6コピー/mlだった。このうち11検体は40000コピー/ml以下だった。ウイルス量の少ない検体の場合、ウイルス分離に比べてリアルタイムPCRによる検出法が優れていることが明らかになった。さらに、C型インフルエンザと同時期に流行することの多いヒトメタニューモウイルスについて、リアルタイムPCR法による核酸検出を同じ検体を用いて行った。この結果、C型インフルエンザウイルスとヒトメタニューモウイルスが同時に細胞培養法で陽性になった検体はなかったが、ヒトメタニューモウイルスが分離または核酸検出で陽性になった検体のうち7検体でC型インフルエンザウイルスの核酸検出が陽性になった。また、パラインフルエンザ1型が分離された検体のうち5検体でもC型インフルエンザウイルスが分離かつ核酸検出陽性になっており、同時期に流行する小児の呼吸器感染症ウイルスの同定にリアルタイムPCR法が有効であることが示された。
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