研究課題
1.ネフローゼモデルのラットにおけるNMMHC-IAの役割の検討NMMHC-IIAは乳児期からの血小板減少、小児期からの高度蛋白尿による末期腎不全、難聴を呈するEpstein症候群の責任分子である。Puromycinaminonucleosideを投与したラットにおいては一時的にネフローゼレベルの蛋白尿を呈するが、蛋白尿が極期となるday11にポドサイトにおけるNMMHC-IIAの発現が著明に低下することを見出し、Westernblot解析でも蛋白発現が低下していることを証明した。このことから、ポドサイトの細胞骨格、細胞形態が保持できなくなる状況において、NMMHC-IIAが重要な役割を果たしていることが示唆される。2.ヒト特発性ネフローゼ症候群での検討コントロールサンプルとして移植腎のOh生検(ドナー腎を摘出した時点での生検検体)を用いた免疫電顕の検討では、NMMHC-IIAはポドサイトの一次突起に局在していることが示された。このことは、すでに正常ラット腎の二重染色においてNMMHC-IIAがsynaptopodinやpodocalyxinとmergeせず、細胞体や一次突起に局在するnestinとmergeするという結果とよく一致していた。また、ヒト難治性ネフローゼ症候群の筆頭である特発性巣状糸球体硬化症(FSGS)の生検検体において、NMMHC-IIAの発現が著明に低下し、同じくネフローゼレベルの蛋白尿を呈する他の慢性糸球体腎炎ではNMMHC-IIAの発現が保持されているという結果を得た。このことは、NMMHC-IIAが特発性ネフローゼ症候群の蛋白尿発症あるいはポドサイトの細胞形態の維持において重要な役割を果たしていることを示唆していると考えられる。
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