研究課題/領域番号 |
21591386
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
中川 雅生 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40188909)
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研究分担者 |
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60238962)
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キーワード | マウス / 単離心筋細胞 / Langendorff灌流 / 生理学的特性 / 成長 / イオンチャネル / パッチクランプ / ラット |
研究概要 |
平成22年度の研究で、マウス単離心筋細胞の生理学的特性は成長により差があることを明らかにした。今年度は、ラットを用いて発生初期の心筋細胞の生理学的特性を明らかにすることを目的に研究を開始したが、平成21年度の研究でラットの心筋はLangendorf罐流後の細胞単離が困難であったため、従来の機械的な破砕による細胞単離法を用いることにした。そこで、出生直後のマウスの心筋細胞をLangendorff灌流により単離した場合と機械的な破砕により単離した場合で形態や生理学的特性に差が生じないかを検討した。その結果、Langendorff灌流により単離された心筋細胞は従来の機械的破砕によって単離された細胞と比較して、(1)形態的に紡錘状で細胞の大きさを反映する膜容量は平均32.3±5.9pFと大きい(従来の方法で単離した細胞は球形で20.4±2.7pFと小さい)、(2)活動電位時間に差はなかったが、静止膜電位は-80.6±1.1mVと機械的破砕の-60.5±2.6mVより有意に過分極しており、(3)内向き整流性カリウムチャネルの電流密度は45.5±8.OpA/pFで機械的破砕の9.2±1.8pA/pFに比して有意に大きいことが明らかになり、細胞を機械的に破砕して細胞を単離する方法では正確な生理学的特性が示されない可能性が示唆された。この結果を受け、ラットの心臓での研究を中断し、マウス胚の心臓を用いて刺激伝導系細胞の成長に伴う生理学的特性の変化とビスダイアミンが心筋細胞と刺激伝導系細胞の成長に与える影響について検討することにした。しかし、マウス胚の心臓ではラットほどHNK-1陽性組織が明らかでなく刺激伝導系の存在が明確でなく、Langendorff灌流で単離された細胞はすべて紡錘状で心筋細胞、線維芽細胞、刺激伝導系細胞の区別ができなかった。また、ビスダイアミンはマウスではラットのような心臓発生の異常をきたさなかったことでマウスを用いて研究を行なうには限界がある。今後ラッドの細胞単離法を確立し研究を継続していきたい。
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