研究課題/領域番号 |
21591389
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
楠原 浩一 産業医科大学, 医学部, 教授 (20243941)
|
研究分担者 |
下野 昌幸 産業医科大学, 医学部, 准教授 (00248569)
保科 隆之 九州大学, 大学病院, 特任助教 (30398078)
|
キーワード | 急性脳症 / 小児期 / 早期診断 / 予後予測 / 多施設共同研究 / 脳炎 / 熱性けいんれん / 異常行動 |
研究概要 |
本共同研究に参加する国内29施設に2010年5月までに急性脳症、熱性けいれん、発熱に伴うせん妄・異常行動・幻覚、インフルエンザ、突発性発疹のために入院した小児を解析した。対象者は小児162名(男:女1.5、入院時年齢:4か月~14歳、平均4歳2か月)。疾患の内訳はインフルエンザ脳症7名、HHV-6/7脳症6名、ロタウイルス脳症3名、その他の脳症34名、複雑型熱性けいれん66名(内インフルエンザ22名、突発性発疹4名)、異常行動53名であった。尿中β2マイクログロブリン(BMG)は、尿中クレアチニンと同時に測定しクレアチニン比(μg/gCr)を算出した。尿中BMGの平均値は、インフルエンザ脳症329、HHV-6/7脳症829、ロタウイルス脳症1637、その他の脳症278、複雑型熱性けいれん84(内インフルエンザ105、突発性発疹38)、異常行動53であった。尿中BMG補正値の異常高値患者は、全例、死亡または重度の後遺症を残していた。急性脳症患者の尿中BMG補正値を予後別に比較すると、死亡群+重度後遺症群は回復群と比較して有意に高値を示した(P<0.001)。また、急性脳症群、複雑型熱性けいれん群、異常行動あるいは軽度意識障害群間の尿中BMG比較では、脳症群>けいれん群>異常行動群の傾向が認められた。尿中BMG補正値は急性脳症患者では早期から高く、著増例は死亡あるいは重度の後遺症を残していたことから、早期の尿中BMG補正値の上昇は脳症の予後不良因子と考えられた。
|