研究課題/領域番号 |
21591389
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
楠原 浩一 産業医科大学, 医学部, 教授 (20243941)
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研究分担者 |
下野 昌幸 産業医科大学, 医学部, 准教授 (00248569)
保科 隆之 九州大学, 大学病院, 特任助教 (30398078)
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キーワード | 急性脳症 / 小児期 / 早期診断 / 予後予測 / 多施設共同研究 / 脳炎 / 熱性けいれん / 異常行動 |
研究概要 |
急性脳症、熱性けいれん、異常行動のために共同研究参加施設に入院した小児患者217名(男:女1.3、入院時年齢:4か月~14歳、平均7歳10か月)を対象とした。疾患の内訳は、インフルエンザ(Flu)脳症11名、HHV-6/7脳症11名、Rota脳症4名、その他の脳症59名、複雑型熱性けいれん94名(内Flu23名、HHV-6/78名)、異常行動42名であった。【結果】尿中BMG補正値(×100μg/gCr)の中央値はFlu脳症42.8、HHV-6/7脳症82.4、ロタウイルス脳症595.3、その他の脳症61.0、複雑型熱性けいれん36.3(内Flu67.9、HHV-6/7 64.0)、異常行動32.8であった。尿中BMG補正値の異常高値患者(≧1000×100μg/gCr)はFlu脳症1例、HHV-6脳症1例、急性壊死性脳症(HHV-6脳症)1例、出血性ショック脳症3例(1例はロタウイルス脳症)分類不能1例の計7例で、分類不能の1例を除き死亡または重度の後遺症を残していた。急性脳症患者の尿中BMG補正値とGlasgow outcome scaleによる予後には有意の相関がみられた(P<0.001)。脳症をけいれん重積型群、MERS群、それら以外の3群に分けて尿中BMG補正値を比較したが、3群間では有意差は認められなかった。尿中BMG補正値は急性脳症患者で高い傾向が認められたが、複雑型熱性けいれん、異常行動との間に有意差はなく、脳症の早期診断マーカーとして用いることは難しいと考えられた。一方で、脳症の予後とは関連しており、脳症のタイプでは一定の傾向が認められなかったことから、尿中BMG補正は、脳症の臨床所見とは独立した予後予測マーカーであると考えられた。
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