研究概要 |
本研究では、先天性・乳児ネフローゼ症候群患者を対象に、最近発見されたネフローゼ症候群関連遺伝子NPHS1,NPHS2,WT1,LAMB2,PLCE1の解析を行う。さらに申請者が探索中の新しいネフローゼ症候群責任遺伝子の解析も実施する。(1)これら遺伝子の日本人先天性・乳児ネフローゼ症候群への関与を明らかにし、(2)その発症機序を解明、(3)新しい治療法開発の手がかりとすることを最終目的とする。具体的に下記の項目が進行中である。 【1】先天性・乳児ネフローゼ症候群患者検体・臨床データの収集:患者検体を全国から収集している。 【2】腎病理学的検討:腎生検組織の光顕、蛍光、電顕所見から病理診断を確定している。 【3】全エクソン検索による遺伝子変異の解析:ゲノムDNAを使用し、(1)nephrin遺伝子(NPHS1)、(2)podocin遺伝子(NPHS2)、(3)laminin-β2(LAMB2)遺伝子、(4)WT1(WT1)遺伝子(5)PLEC1(PLCE1)遺伝子の全エクソンの塩基配列を確認し,変異を検出している。(3)において本邦初の症例を同定し,その報告が英文誌に採択された(Pediatric International,in press)。 【4】遺伝子変異の同定された患者の腎生検組織における以下の検索をおこなう予定である。 (1)蛋白の発現の確認、(2)mRNAの発現と局在、(3)mRNAの定量 【5】日本人ネフローゼ症候群疾患責任遺伝子の探索 日本人の劣性遺伝・家族性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の家系を対象として、217個のマイクロサテライトマーカーを用いたゲノムワイド連鎖解析を行い、9番染色体の約20cMの領域に病因遺伝子が存在する可能性が高いことを見出している。
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