研究概要 |
グルココルチコイドは、ネフローゼ症候群のタンパク尿の阻止を期待する治療薬の柱として使用されてきたが、その薬理作用機序は未だ解明されていない。本研究では、グルココルチコイドによりup-regulateされる新規遺伝子Glucocorticoid Induced Transcript-1 (Glcci1)の遺伝子産物:GLCCI1の分子基盤の解析を行う。 平成21年度は、 1) 大腸菌用ヒトGLCCI1発現ベクターを作成し、リコンビナントヒトGLCCI1タンパクを作成した。 2) 1)を免疫原として、家兎に免疫しポリクローナル抗体を作成した。 3) 酵母用GLCCI1発現ベクターを作成し、腎ライブラリーとの酵母2ハイブリッドスクリーニングを行った。 その結果、GLCCI1は、胸腺T細胞(double positive)、糸球体ポドサイト、精巣細胞の細胞質に特異的に発現していた。結合タンパクの候補として、Rac-1、dynein, light chain, MORC3など、特に細胞骨格関連タンパクが同定された。 平成22年度の研究実施計画として、これら酵母2ハイブリッドスクリーニングで同定されたGLCCI1結合候補タンパクの確認に入る。 すなわち、 1) マウスの胸腺、精巣、単離腎糸球体、脾臓のタンパクライセートを作成し、リコンビナントヒトGLCCI1タンパクと結合するタンパク群を、Biacore-質量解析でさらに同定する。 2) マウスの胸腺、精巣、単離腎糸球体、脾臓のタンパクライセートを材料に、我々の作成した抗GLCCI1抗体でプルダウンを行い、電気泳動後スポットを質量解析で同定する。 3) マウス胎児臓器でのGLCCI1の発現を解析し、特に胸腺細胞、精巣細胞の分化過程におけるGLCCI1の意義について解析を行う。
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