糖質ステロイドの薬理作用の最終下流経路を同定するために、存在意義が不明であった糖質ステロイド誘導遺伝子(GLCCI1)の蛋白機能の解明を試みた。GLCCI1は細胞内骨格チュブリン上に存在する約70kDaのリン酸化蛋白であり、糖質ステロイド受容体を介して産生されることが判明した。さらに、GLCCI1 は滑車蛋白複合体構成分子であるdynein-light chain 1(LC8)とその活性化キナーゼPAK1 のいずれにも結合し、PAK1のLC8リン酸化機能を阻害することで、胸腺T細胞のアポトーシスを誘導することが明らかになった。この新規アポトーシス経路は、糖質ステロイドの免疫抑制作用の新規経路である。
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