研究概要 |
研究課題である血管機能の評価のため,本年度も引き続きレーザドップラー血流計測システム(PeriFlux System5000)を使用して、川崎病後遠隔期に冠動脈病変を持つ症例25例(CA群),冠動脈病変消退例13例(Re群),急性期より冠動脈病変を持たない症例15例(No群),年齢を合わせリスク因子のない対照20例(Con群)における微小血管機能の評価を施行し,このシステムの有用性を明確にすることを目標として研究を続行した。 またこれらの症例全例に血液検査を施行し,他のリスク因子がないことを確認し,今後の研究に参加できるかの意志確認を行った.昨年度までの結果では,CA群とRe群,No群Con群では安静時のperfusion unit(安静時PU)その後、腕帯を200mmHgまで加圧し、3分後に急速に減圧し、最大時のperfusion unit(最大PU)を記録したかぎりでは有意差を認めていない.しかしながら最大PUに達するまでの時間が、CA群においては有意に長く(CA群:Re群:No群:Con群=37.4±30.5秒:27.0±14.8秒:15.0±11.8秒:17.0±10.8秒,p<0.05),Re群とNo群,Con群では有意差を認めていないが,Re群では最大PUに達するまでの時間が長い傾向にあった.これらのデータは川崎病罹患後に冠状動脈瘤をもつ症例において、冠動脈以外にも微小血管を含めた末梢血管機能が傷害されている可能性を示唆している。現在、別の指標での統計を行い、新しい指標で優意差を認めるかの統計解析を施行している。最終的にはレーザドップラー血流計測システムの有用性が確認できるかを検討予定である。最終年度はさらなる症例を増やし冠動脈病変消退例が本当に末梢血管機能が正常なのかを明らかにし,同時に眼動脈のエコー,頸動脈エコー,眼底所見との比較検討を進めていき,川崎病遠隔期の血管機能が,将来の脳血管病変のリスク因子となりうるのかを明らかにしていく予定である.
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