研究概要 |
冠動脈瘤残存例(A群:27例)、冠動脈瘤退縮群(B群:12例)、冠動脈正常群(C群:10例)、対照群(D群:17例)を対象として,頚動脈エコーにて右頸動脈の拡張期のintima-media thicknessと、同時に測定した血圧を元に、StiffnessとDistensibilityを測定,またレーザードップラー血流計を用いて皮膚血流計の計測を行い血管内皮機能が正常かどうか、特に心臓や脳血管障害のリスク因子となりうるのかを検討した.研究期間に脳血管障害を発症した症例はいなかったが,A群は収縮期血圧, Stiffnessが優位に高く, Distensibilityは優位に低値であった.またTime to MaxPUが他の群よりも有意に延長していた.これらの結果から冠動脈瘤退縮例や冠動脈正常例では内皮機能を含めた末梢血管は正常と考えるが、脈瘤残存例では血圧が高く頸動脈血管壁は硬く拡張性に乏しく、血管機能障害の存在が示唆された。今回の検討では全症例の年齢が若く,頸動脈のelastic propertyの変化が壮年期の脳心血管病の基礎となるのか,薬物療法などがこれを改善させ得るのかなどは今後長期間の検討が必要と考える。
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