研究概要 |
初年度は,自然交配後の妊娠マウス16頭を自由摂食(コントロール)群と摂食制限群(妊娠10.5日から19.5日まで自由摂食の70%に給餌制限する)に分けて飼育を行った。CpGアイランドのメチル化。特にT-DMRのマッピングが詳細に検討されているC57B1/6マウスを用いた。30%の母獣摂食制限により胎仔および胎盤重量はいずれも10~20%程度の減少し,胎仔発育遅延(IUGR)マウスとなった。胎仔の肝および胎盤組織を採取して,mRNAの抽出とDNAマイクロアレイ法による候補遺伝子同定を行った。肝および胎盤組織から抽出したmRNAから逆転写反応で標識cDNAを作り,DNAチップにハイブリダイズして各遺伝子の発現をみた。コントロール群との相対的なシグナル比の比較により,栄養制限下にある組織において発現上昇または発現低下している遺伝子群をピックアップした結果では,IGF2,CDKN1C,CDKN1C,MEG3などといった遺伝子がすでにいくつか確認されているが,さらにサンプル数を増やして確認の予定である。これらの中からヒトにおけるメタボリックシンドローム発症関連遺伝子を参考にして,ゲノム遺伝子のメチル化パターンをコントロールと比較することによって,エピジェネティックな影響を受けているかの検討を次年度に予定している。胎盤は胎生期の子宮内環境を決定し,胎児プログラミングを司る臓器であり,低酸素,低栄養といったストレスによって遺伝子のメチル化パターンが大きく変化していることが予想される。
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