研究概要 |
先天性中枢性低換気症候群の約90%の症例では,PHOX2B遺伝子の5-13個のアラニン鎖の伸長変異を有しており,10%の症例はミスセンス変異,ナンセンス変異,フレームシフト変異などを有している.また,アラニン伸長変異の95%はde novoの変異であり,5%は親からの遺伝による.私達は,de novoのアラニン伸長変異の由来および伸長機構について研究し,2007年,このde novoの変異はinformativeな6家系において父由来であること,さらに伸長機構についてはinformativeな4家系において不等姉妹染色分体交換による事を明らかにした.今回の研究では,さらにそれぞれ3家系において,父由来であることと,不等姉妹染色分体交換による事を確認した.また,7個のアラニン伸長変異では,rs17884724:A>Cの多型を有する頻度が非常に高く,この多型有することで,不等姉妹染色分体交換を想定した配列の並びでは,ミスマッチ配列が少なくなり,このことも伸長機構は不等姉妹染色分体交換によることを裏付けているものと考える.父由来であるが,父の年齢効果は認められなかった. 臨床的には,国内の多くの症例の遺伝子診断を行い,約50例のPHOX2B遺伝子変異を検出し,臨床的にも貢献してきたと考えている.家系分析では,モザイクや遅発性の中枢性低換気症候群に罹患している親からの遺伝も明らかにして,遺伝カウンセリングにも有用な情報を提供している.
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