研究概要 |
早産児を絨毛膜羊膜炎(CAM)の有無で分け、臍帯静脈血と生後1週時の末梢血のsoluble tumor necrosis factor receptor(sTNFR)値と、生後48時間以内と生後1週時に得られた尿中β_2-microglobulin(β_2-MG)値を検討した。 (1)生後48時間以内の尿中β_2-MG値は、CAM(-)児群(54例:在胎24~34週、出生体重516~2,182g)に比べ、CAM(+)児群(82例:24~33週、662g~2,492g)で有意に高く(66,822 vs 99,570μg/gCr;p=0.0011)、それは特に在胎28週未満の児で著明であった。生後1週間の尿中β_2-MG値は、両群で有意に低下し、また両群間に差はなくなった(52,752 vs 52,010μg/gCr;p=0.7436)。 (2)臍帯血のsTNFR値は、CAM(-)児群に比べCAM(+)児群で有意に高かった(2,383 vs 3,586pg/mL;p=0.0230)。生後1週時の末梢血のsTNFR値は、両群で低下し、特にCAM(+)児群では有意な低下であった。またCAM(-)児群に比べCAM(+)児群で有意に高いままであった(1,858 vs 2,104pg/mL;p=0.0096)。 生後早期の尿中β_2-MG値の高値は出生前の胎内での炎症の影響が考えられた。その影響は生後1週で軽減すると思われる。血中sTNFR値の生後1週の変化もそれを支持した。早産児の尿中β_2-MG値は胎内での炎症曝露を示唆し、胎児炎症反応症候群を管理するために有用であることが示唆された。
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