研究課題/領域番号 |
21591419
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
水野 恵介 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (00405177)
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研究分担者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00305525)
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キーワード | 脳室周囲白質軟化症 / オリゴデンドロサイト / Argyolphil III染色法 / NeuN / マウスiPS細胞 / 磁気ビーズ / 細胞移植 / SSEA-1 |
研究概要 |
本研究の目的は、1)未熟児型の脳質周囲白質軟化症(PVL)モデル動物が、運動機能および認知機能の障害という点からモデル動物として適しているかどうか、2)細胞保護作用を有する臨床使用薬剤が未熟児型PVLモデルに対して効果を有するか否か、3)iPS細胞等のか幹細胞からオリゴデンドロサイト系譜へ細胞分化させた細胞の移植を実施し細胞移植の可能性を検討することである。22年度は、臨床使用薬剤の効果を検討するうえで必要となる基礎準備実験、および幹細胞から分化誘導させた細胞移植の基礎実験を行った。 臨床使用薬剤の効果検討のための準備実験として、PVL後の最初期変化を観察するためArgyophil III好銀染色を実施し、またPVL後の成長過程におけるオリゴデンドロサイト(OLs)マーカー(cc-1)および神経マーカー(NeuN)の検出を行った。その結果、PVL作製後の6時間から7日後までの間に好銀性を示す細胞の明らかな出現は認めず、早期の神経障害がほとんどないことが明らかになった。10日後および60日後のNeuN陽性細胞数に変化はないがCC-1陽性細胞数の減少が認められた。このことから、我々の作製したPVLモデルがオリゴデンドロサイト選択的な障害モデルであることが確証できた。 幹細胞を用いた細胞移植実験では、マウスES細胞/iPS細胞から7段階のステップで効率よくOLsへの分化誘導が可能となってきた。移植後の腫瘍化を抑制するため、SSEA-1およびA2B5の抗体が結合した磁気ビーズを用いてOLs前駆細胞を選択的回収する方法に取り組み、さらには脳内への移植を実施した。本研究の手技的(移植部位、細胞状況など)および科学的問題点(生存促進、栄養因子の必要性)がいくつか明らかになったため、現在その解決を進めている。
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