研究概要 |
常染色体優性遺伝形式をとる非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の家系については、ケラチン遺伝子異常に伴う疾患が常染色体優性遺伝性形式をとることから、責任遺伝子がケラチン遺伝子と連鎖している可能性を考え、ケラチン遺伝子の集簇する遺伝子座12q13近傍のマイクロサテライトを解析した。しかし本家系においては疾患と12q13領域に存在するマイクロサテライトは連鎖しなかった。このことから12q13領域に存在するケラチン蛋白(ケラチン1、2、5、6)遺伝子は責任遺伝子として否定的であることが示唆された。今後同様にケラチン遺伝子の集簇する17q12-q21領域や、角化関連遺伝子が集簇する1q23に存在するマイクロサテライトを解析し、連鎖の有無を調べる予定である。なお候補遺伝子として常染色体劣性遺伝型の非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の原因遺伝子であるTGM1遺伝子を直接シークエンスしたが、変異は見つからなかった。 Michelin tire baby syndromeに関しては、過去に報告のある染色体7番における転座inv(7)(q22q31.3)や、染色体11番における一部欠失del(11)(q21q23)が候補遺伝子座として考えられたため、当該部位のマイクロサーライト解析を行った。その結果、7q22-q31.3においては連鎖がみられたが、11q21-q23においては連鎖がみられず、7q22-q31.3に責任遺伝子が存在する可能性が示唆された。候補遺伝子として、7q22-q31.3に存在する遺伝子HYAL4,SPAM1,PCOLCEを直接シークエンスしたが、変異は見つからなかった。 遺伝性皮膚疾患家系からのDNA採取については、Michelin tire baby syndromeの家系が新たに2家系見つかり、本人の同意を得たうえで遺伝子採血を行った。今後マイクロサテライト解析を施行し、候補遺伝子座をさらに絞り込んでいく予定である。
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