研究課題
本研究の目的は難治性で多くの患者のQOLの低下を招く疾患である乾癬の病態形成におけるSOCS1の役割を解明することである。乾癬では表皮の過増殖、炎症性細胞浸潤を特徴とし、さらには血管内皮の過剰増殖も報告されている。炎症性角化症とも呼ばれる。一度発症すると増悪と寛解を繰り返しながら、長期間続き、時に関節症状も伴い、患者にとって大きな負担を強いる疾患である。STATfamilyのnegativeregulatorであるSOCS1は免疫機構の制御に重要な役割を持ち乾癬の病態形成への関与が推測される。SOCS1-flox/floxマウス(吉村昭彦教授よりすでに本研究者に供与されている、またC57/B6マウスと交配を繰り返しすでにB6 backgroundとなっている)そしてケラチン5(K5)プロモーターでCre-recombinaseを発現するトランスジェニックマウス(K5-Creマウス、大阪大学竹田潤二教授より供与されている、B6 backgroundとなっている)これらのマウスの繁殖、交配を行いPCR法にてgenotypinigを行っている。表皮特異的にSOCS1を欠損したマウスには皮膚の明らかな変化は認められていない。本年度は創傷治癒に注目して実験を行った。すなわち、生後約3ヶ月のマウスを麻酔下に背部皮膚にパンチ生検により創傷を作成じその治癒速度を比較した。すると表皮特異的にSOCS1を欠損したマウスでは明らかな創傷治癒遅延を認めた。病理組織ではノックアウトマウスにおいて創傷部の著明な炎症細胞の浸潤をコントロールと比べて認めた。免疫組織染色法では表皮細胞においてリン酸化STAT3の染色を核に認めた。以上の結果より過剰な炎症反応の遷延により創傷治癒遅延を生じていることが推測された。
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