研究概要 |
1) 応募者らは、セラミドを含むスフィンゴ脂質生合成の律速酵素であるserine palmitoyl-CoA transferase(SPT)の遺伝子をCre-loxPシステムによって表皮角化細胞特異的に破壊したノックアウトマウス(K5. sptlc2-/-)を作成している。このマウスは生ド時においては、保水量の低下が認められるもTEWL(Transepidermal water loss)の異常はなく、バリア障害は起きていない。 2) しかし、テープストリッピングにより野生型マウスに比べ著明なバリア修復障害が明らかになった。この事実は、セラミドde novo生合成酵素活性が急性のバリア修復機構に重要であることを示す。 3) このマウスのテープストリッピング3日後の皮疹の遺伝子発現パターンをreal time RT-PCR法で解析した結果、野生型マウスに比べIL23/Th17シグナルに関連する遺伝子のup-regulationを認めた。 4) 一方、生後2週目以降、このマウスのバリア障害が発症し、同時に鱗屑をつける紅斑が多発してくる。このときの、表皮ランゲルハンス細胞は形態的、あるいはCD86,CD80の高発現していることより、成熟活性化していることが明らかになった。 5) このマウスの皮疹よりサイトカインプロファイリングを施行し、IL-23/Th17シグナルが活性化していることが明らかになった。 6) 同時に行った皮膚所属リンパ節で、IL-17A,IL-22のup-regulationが示された。 7) このリンパ節細胞を用いた細胞内FACS解析によって、IL-17を産生する細胞はCD4陽性細胞(Th17)とともに、多数のγδT細胞であることが明らかになった。この事実をまとめて、表皮セラミドの欠損に引き続く皮膚炎発症には、ランゲルハンス細胞の成熟活性化およびIL-17産生するとりわけγδT細胞が重要な働きをしていることを示唆している。
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