研究課題/領域番号 |
21591446
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小澤 明 東海大学, 医学部, 教授 (20096209)
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研究分担者 |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 准教授 (70216878)
生駒 憲広 東海大学, 医学部, 講師 (40407979)
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キーワード | 酸化ストレス / 乾癬 / 増殖・分化異常 / MAPキナーゼ / 幹細胞マーカー |
研究概要 |
本研究の目的は酸化ストレス障害に応答するシグナル伝達および共役して機能する抗酸化システムをヒト皮膚組織において証明し、その分子機構を明らかとすることであり、これまでに、申請者および研究分担者は、紫外線露光部・非露光部のヒト皮膚組織を用いた免疫組織化学的研究、および分子病理学的手法を用いて、露光部の脂質酸化物増加や抗酸化酵素の発現減少を確認している。さらに細胞の増殖・炎症に関わるMAPkinaseが発現亢進していることも確認している。さらに、これらの結果を皮膚疾患(乾癬)の病態解明に応用するために、30症例の乾癬皮膚を用いて免疫組織学的に解析を行った。昨年度までの研究で乾癬の病変部では表皮を中心に酸化ストレスが亢進している事を見出している。これら細胞群では、分化マーカーであるNotch1の発現減少が確認され細胞の分化が抑制されていると考えられた。重要な事に、それら細胞では、MAPKinaseの活性化やcyclinE陽性であり、細胞増殖シグナルが活性化している事が明らかとなった。本年度の研究ではcyclinE/NF-kB共陽性の細胞数は、乾癬の病変面積に相関していることが明らかとなった。さらに分化マーカーであるKeratin10/14が異常発現していたことから、病変部の細胞が基底細胞・有棘細胞の両者への多能性を持った幹細胞様細胞である可能性が見出された。そこで幹細胞マーカーであるsox2について免疫組織染色を行ったところ、正常皮膚では表皮基底層と細胞核に染色されたが、乾癬病変部では表皮全体の細胞質に発現が認められ、病変部では幹細胞マーカーが異常発現することが確認された。これらの結果をもとに、今後培養細胞、モデル動物を使用した研究を進めることで、他の増殖疾患である悪性腫瘍の新規治療法確立にもつながると考えられる。
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