研究概要 |
本研究の目的は、我々が新規のメラノーマバイオマーカー候補として同定したPro-platelet basic protein precursor (PPBP)に対する抗体を作成し、臨床応用に向けた測定系(ELISA)の開発を目指すことである。6種類の候補ペプチド配列を選別後、N末端側にシステインを1残基付加した配列を合成し、マレイミド法によりKLHと結合させたペプチドを感作抗原として使用した。また、作成したハイブリドーマをスクリーニングするために大腸菌発現系を用いてGST融合PPBPタンパク(GST-PPBP)を作成し、ELISA測定系作成の際の条件検討用にバキュロウイルス発現系を用いてヒスチジンタグ付きPPBPタンパク(His-PPBP)を作成した。 マウスへの抗原感作は、BALB/cマウス1群3匹とし、day0およびday12にフロイドの不完全アジュバンドと混合した抗原を50μg/body, day22に同量の抗原のみを用いた最終免疫を行い、day25でマウス脾臓を採取しマウスミエローマ細胞(P3X63Ag8.653)との融合を行った。day11、21に一部採血を行い、マウス血清中の抗体価を測定するのに用いた。その結果、PPBPタンパクを用いて抗原感作を行ったマウスにおいてGST-PPBPに対する血清抗体価の上昇が見られ、作成したハイブリドーマのなかからPPBPタンパクと親和性があると思われる3クローンを得た。KLH結合PPBPペプチド2種類(C末端側)を用いて感作を行ったマウスでは、抗原ペプチドに対する抗体価の上昇は見られたが、PPBPあるいはNAP2タンパクに対する抗体価の上昇は見られなかった。このため完全フロイドアジュバンドを用いた変法にてマウスへの免疫を再度施行中である。現在、取得されたPPBPタンパクを認識するハイブリドーマ3クローンの産生する抗体の機能解析を行っている。
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