研究概要 |
本研究の目的は、我々が新規のメラノーマバイオマーカー候補として同定したPro-platelet basic protein precursor(PPBP)に対する抗体を作成し、臨床応用に向けた測定系(ELISA)の開発を目指すことである。初回のマウスへのPPBPタンパク(全長)の免疫後のハイブリドーマの作製では、PPBPタンパクと親和性があると思われる3クローンが得られ、測定系の構築を行ったが、十分な感度が得られなかった。その後完全フロイドアジュバンド(CFA)を用いた従来法(CFA+PPBP 50ugx1,IFA+PPBP 50ugx2)にてマウスへの免疫(皮下)を3回施行し、脾細胞を回収し、ハイブリドーマの作製を行ったが、十分な数のクローンが得られなかった。免疫を効率よく行うため、マウスの大腿部にCFA+PPBP50ugを1回のみ免疫後、腸骨リンパ節を回収し、ハイブリドーマの作製を試みた。ELISA法によるスクリーニングにてPPBPタンパクに反応する陽性クローンは、全体の約30%に認められ、従来法(2-3%)と比較してハイブリドーマ作製行程が非常に効率化された。今後得られた30クローンのPPBPタンパクを認識するハイブリドーマのスクリーニングを行い、抗体の機能的な選別を施行し、より感度の高い測定系の構築を目指す。一方で既存(市販)のPPBPに対するモノクローナル抗体を組み合わせたELISA系の構築を試みており、測定系の感度は77.4%、特異性は90.0%であり、・メラノーマでの特異性が確認された。本年度内にPPBPの測定系の構築には、至らなかったが、今後早期にELISA系を確立し、PPBPをメラノーマバイオマーカーとして応用する臨床研究を多施設参加の形で実践して行きたいと考える。
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