研究概要 |
本研究では,NLRP3疾患関連変異体を導入した肥満細胞株MC/9細胞をマウス腹腔への細胞移入することで誘導される好中球性炎症の惹起と血管透過性亢進の機構を明らかにすることで,NLRP3の恒常的な活性化によって誘発される家族性寒冷蕁麻疹の皮疹の発症機序解明を目的とする。疾患変異体を導入したMC/9細胞をIL-17欠損マウスの腹腔へと移入した際は,好中球遊走が誘導されず,血管透過性も確認されないことから,この反応にはIL-17が関与することが示唆された。ただし,その機序を詳細に検討する際に,NLRP3疾患関連変異体が細胞死を誘導するためか,遺伝子を安定発現する細胞は徐々にIL-1βの自発的産生能を失い,実験の再現性が乏しかった。この問題を克服するため,テトラサイクリン誘導プロモーターによって疾患関連NLRP3を発現する細胞を樹立した。このプラスミドでは,ドキソサイクリンの添加により疾患関連NLRP3が誘導され,NF-κBの自発的活性化やIL-1βの産生など,疾患関連変異体のもつ遺伝子機能として予測される経路が働くことを確認した。来年度は,このプラスミドを安定発現する細胞を用いて,更なる検討を行う予定である。
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